キョウチクトウ科キョウチクトウ属の常緑低木もしくは常緑小高木。
庭園樹や街路樹に使われるが、中毒事例がある有毒植物としても知られており、強力な毒成分(強心配糖体のオレアンドリンなど)が含まれ、キョウチクトウを燃やして出た煙にも残る。
インド原産で日本へは、中国を経て江戸時代中期の享保年間(1716 - 1736年)、あるいは寛政年間(1789 - 1801年)に渡来したといわれる。
暑さや乾燥に強く、世界中では乾燥地で繁茂していて、大面積を占有して大きな藪をつくる。原産のインドでは、河原や道路脇などに生えている。
花は、熱帯地域ではほとんど一年中咲くが、日本では夏期の6 - 9月ごろに開花する。花弁は基部が筒状、その先端で平らに開いて五弁に分かれ、それぞれがややプロペラ状に曲がる。花色は淡紅色がふつうだが、紅色、黄色、白など多数の園芸品種があり、八重咲きや大輪咲きの種もある。数少ない夏の花木で、園芸種の数も多い。
強い経口毒性があり、野外活動の際に調理に用いたり、家畜が食べたりしないよう注意が必要である。花、葉、枝、根、果実すべての部分と、周辺の土壌にも毒性がある。生木を燃やした煙も有毒であり、毒成分は強心配糖体のオレアンドリンなど。腐葉土にしても1年間は毒性が残るため、腐葉土にする際にも注意を要する。
中毒症状は、嘔気・嘔吐(100%)、四肢脱力(84%)、倦怠感(83%)、下痢(77%)、非回転性めまい(66%)、腹痛(57%)などである[11]。治療法はジギタリス中毒と同様である。
古代インドでは、キョウチクトウの有毒性を利用して、堕胎や自殺に用いられた。